【♡二人の前日譚を特別公開♡】騎士団長(夫)の仕事は私が裏で片付けるので定時後は嫁を愛でていただきます!

嫁大好きエリート騎士団長×天才⁉︎魔法使い令嬢、 ふたりが夫婦になる前のココだけのお話♡   <騎士団長の求婚> 騎士団の詰め所にて、ロベルトは頭を抱えていた。 この国の治安維持を一手に引き受ける守護騎士団。その第一騎士団を束ねる彼の頭を悩ませる問題など、国家存亡に関わる重大案件しかありえないはずが……今回ばかりは別だった。 「アリア……アリアからの返事が一向に来ない……」 とある夜会で、ロベルトはひとりの女性に出会った。 そしていくつか言葉を交わし、そのまま求婚してしまった。 数々の見合い話を断り続けてきたロベルトが、弱小貴族のひとり娘……しかも婚約破棄されたワケありご令嬢にアプローチしたというのは、すでに広く噂になっているらしい。 (それがどうした。あの方が俺の運命の人だ。間違いない。だが、あんな衆目の前での求婚は軽率だったかもしれないな……はっ!? ひょっとすると気を害してしまわれたやも……から返事が来ないのか!?) プロポーズから十日あまり。 ずっと返事を待ち続けているのだが、一向になしのつぶてだ。 ロベルトの頭の中で、アリアがぷいっとそっぽを向く姿が再生される。 つれない彼女も素敵だ。だがしかし、ロベルトの弱り切った心臓は甚大なダメージを受けた。 (うおおおお……! 俺は、俺はいったいどうしたらいいんだ……!) そんなふうにして悶々としていると、がちゃっと詰め所のドアが開く。 顔を出したのは部下のオスカーだった。今日も今日とて爽やかな笑みを浮かべた青年は、大量の封筒を抱えていた。 ロベルトは頭を切り替え、騎士モードのキリッとした顔で彼を出迎える。 「騎士団宛ての書類か。ご苦労」 「いえいえ、事務所に寄ったついでです。団長宛ての郵便もありますよ」 「どれ、貸してく……アリアっっ!?」 「うわっ。なんすか急に」 封書の山の中には数々の有力貴族や、国家機関からのものが多かった。 その中からたった一枚をひったくる。薄い封筒にはアリアと、その後見人である叔父の名がたしかに記されていた。 ロベルトはそれを両手で高々と掲げ、心の底から天に祈った。 「やっときた……! アリアからの手紙だ!」 「それってひょっとして、団長が泥酔してプロポーズしたご令嬢っすか?」 オスカーが散らばったその他の手紙を拾い集めながら苦笑する。 「酔っ払いのたわ言にもちゃんと返事をくれるなんて、律儀な人ですねえ」 「バカを言え。あのときは素面しらふだった」 「は? じゃあマジであの堅物団長が女性にアプローチを……?」 信じられないものでも見るかのように、オスカーが目を丸くする。 そんなことにはおかまいなしだ。ロベルトは震える手で手紙を開く。 手紙は二枚あった。一枚目は叔父のハイザン卿からで、求婚を受ける旨が書かれていた。 形式張った文体ではあるものの、公爵家との婚姻を心の底から喜ぶような打算的な気配が感じられた。 そしてもう一枚はアリアからのものだった。 『ロベルト様からのお気持ち、謹んでお受けします』 それを読んだ瞬間、ロベルトは膝から崩れ落ちた。 「っっ……!」 「どうしたんですか団長!?」 オスカーが慌ててロベルトの体を支えてくれた。 彼は鋭い目でアリアからの手紙を検分する。 「団長が倒れるなんて毒物……いや、精神汚染系の魔法か。ちっ、早く魔法医に診せないと――」 「い……」 「い?」 「生きていてよかった……!!」 「……はい?」 ロベルトが万感の思いを吐き出すと、オスカーがぽかんとして固まった。 そんな部下などやはり放置して、アリアからの手紙をもう一度読み返す。 そこには見間違えなどではなく、確かに結婚を了承する旨が記されていた。ロベルトは高らかに快哉を上げる。 「オスカー聞いてくれ! アリアが、アリアが私からのプロポーズを受けてくれたんだ!」 「はあ。まあ、相手は田舎の弱小男爵家なんでしょ。国内有数のボンボンからの求婚ならそりゃ当然――」 「つまり俺はアリアと結婚できるんだ! すごい! 神よ、世界よ、ありがとう!」 神などそれほど信じていなかったが、このときばかりはロベルトは心の底から祈りを捧げた。 … Continue reading 【♡二人の前日譚を特別公開♡】騎士団長(夫)の仕事は私が裏で片付けるので定時後は嫁を愛でていただきます!