【くまクマ熊ベアー10周年】くまなの先生コメント&書き下ろし小説公開!
2025.05.29 (Thu)
本日、『くまクマ熊ベアー』第1巻発売からちょうど10年! 読者の皆様にはいつも応援いただき心から感謝申し上げます。
10周年を記念して、著者・くまなの先生からのコメントと、書き下ろし小説を公開!!
他にも10周年記念企画をお届けしますのでどうぞお楽しみに♪
くまなの先生コメント
『くまクマ熊ベアー』10周年です。
早いものでクマが書籍化して10年が経ちました。
軽い気持ちで書き始めた作品がここまで長く続くとは思いませんでした。
書籍化のオファーをいただき、緊張して出版社様に伺ったのは懐かしい思い出です。
イラストは029先生に描いていただき、2015年5月に書籍1巻が発売しました。
029先生には10年もイラストを描いていただき、感謝の言葉もありません。
そして、書籍1巻が発売した3年後の2018年7月にコミカライズ1巻が発売しました。
コミカライズを描いてくださっているせるげい先生にお会いし、ユナやフィナを描いてきてくださったのを覚えています。それも7年前になると思うと、月日が過ぎるのは早いです。
2021年5月には佐藤ユキノリ先生による『くまクマ熊ベアー ~今日もくまクマ日和~』の1巻。
2023年6月には滝沢リネン先生による『くまクマ熊ベアー外伝~ユナのよりみち手帖~』1巻が発売しました。
7年も『くまクマ熊ベアー』という作品を描き続けてくださっているせるげい先生、オリジナルの『くまクマ熊ベアー』を描いてくださった佐藤先生、滝沢先生には感謝の言葉もありません。
そして、書籍化して5年後。2020年はアニメ化です。
当時、担当の方に会うたびに冗談まじりで「アニメ化はまだですか」と言っていました。
それが現実になるとは思いもしませんでした。
シナリオ会議に参加させていただいたり、アニメスタジオやアフレコを見学させてもらったり、貴重な体験もさせていただきました。
さらにはアニメ化2期も作っていただき、アニメに関わった皆様には感謝の言葉もありません。
最後に『くまクマ熊ベアー』を応援してくださってきた読者様にお礼を。
書籍を手に取っていただけなければコミカライズにもアニメにもならなかったと思います。
ここまで来られたのも皆様のおかげです。ありがとうございます。
小説は現在は21巻まで発売させていただき、22巻も発売予定となっています。
まだまだ『くまクマ熊ベアー』は様々な形で続きますので、お付き合いいただければと思います。
くまなの
くまなの先生書き下ろし小説「10周年記念会場」
「ユナお姉ちゃん、ここはどこですか?」
フィナは周りを見渡す。
「『くまクマ熊ベアー』10周年おめでとう?」
ノアは垂れ幕に書かれている文字を読む。
「ここはイベント会場だよ」
ここはわたしの物語が書かれた小説の刊行が始まってから10年経ったお祝いをする会場だ。
神様から聞いたときには驚いたけど。並んでいる書籍などは全巻読んだ。
その本には、わたしが異世界で経験したことが書かれていた。
しかも、わたしがあんなことを思った、こんなことを思っていたなど、こと細かくだ。
わたしがクマ好きになったのが知られたってことだ。
どうやらPASH!ブックスってところから出版されているみたいだけど、作者はわたしの物語を許可無しに書かないでほしいものだ。
まあ、書いてもいいかと聞かれても、許可は出さなかったと思うけど。
それにしても、10年も書き続けてくれたと思うと、変な気持ちだ。
それ以前に、この世界に来て一年も経っていないのに10年って、時間軸はどうなっているのか、問いただしたい。
「確か、『くまクマ熊ベアー』って、ユナお姉ちゃんの物語をアニメにしたもののタイトルですよね」
フィナは覚えていたみたいだ。(参考:20.5巻)
「でも、10周年って、10年ってことですよね」
やっぱり、そこが気になるよね。
「つまり、10年前のユナさんのことが書かれているってことですか? 読みたいです!」
そっちか。
まあ、普通は時間軸がおかしいとは思わないよね。
10周年と言われたら、わたしの10年前を想像する。
「違うよ。わたしとフィナが出会ってからの話になるよ」
「それって、おかしくないですか? ユナさんとフィナが出会ったのは、ユナさんがクリモニアに来てからですよね? そこから10年ですか?」
「そこは、わたしもよく分からないけど、別の世界では10年経っているみたい。神様の住む場所は特別ってことなんじゃない?」
そのあたりのことはわたしも分からない。
神様の世界なんて行ったことなんてないし。
「不思議ですね」
元の世界では10年経っている可能性もある。
こればかりは知ることはできない。
「でも、ユナさんのことが書かれた本ですか。わたし、読んでみたいです」
「わたしも」
ノアの言葉にフィナも声をあげる。
「本なら、あそこに並んでいるよ」
わたしがクマパペットで指す先には棚があり、表紙が見えるように並んでいる。
ノアは本が並んでいる棚に駆け出す。その後をわたしとフィナが追いかける。
「たくさん、あります!」
1巻から21巻まで並んでいる。途中には11.5巻、20.5巻と変な巻もある。
「えっと、1巻目はユナさんが描かれています」
1巻はクマの格好したわたしが表紙となっている。
この世界に来て、フィナと出会った話が書かれていた。
「うぅ、わたしが描かれています」
フィナが2巻を手にする。
2巻の表紙にはわたしとフィナが描かれている。
「わたしもあります」
ノアは嬉しそうに3巻を手にする。
3巻にはわたしとノアが描かれている。
ノアはパラパラと持っている本を捲る。
「この巻は、わたしとフィナがユナさんと一緒に王都に行ったときのお話ですね」
「2巻はユナお姉ちゃんとブラックバイパーと孤児院のお話です」
「ユナさんとブラックバイパーとの戦いですか!? 読んでみたいです」
「あとでね」
ノアとフィナは持っていた本を棚に戻す。
「えっと、4巻はくまゆるちゃんで、5巻はくまきゅうちゃんです」
ノアは4巻を手に持ち、フィナが5巻を手に持つ。
4巻の表紙はわたしとくまゆる。
5巻の表紙はわたしとくまきゅうが描かれている。
「4巻は『くまさんの憩いの店』を作ったお話とミリーラのお話みたいです」
「ミリーラってことはクラーケンと戦ったお話ですか」
「そうみたいです」
フィナが目次を見ながら答える。
「それも読んでみたいです」
「ノア様、5巻はどんな話ですか?」
「えっと、5巻はクリモニアとミリーラの間にある山にトンネルを作ったお話とハチミツのお話です」
「アニメで見ましたね」
そのあたりの話はアニメで見たので、フィナとノアも知っている内容だ。
2人は持っていた本を棚に戻し、次の巻を手に持つ。
「6巻はお姉様が描かれています」
6巻の表紙にはわたしと制服のシアが描かれている。
「新しいアニメを見たとき、お姉様を護衛した話ですね」
「確か、黒虎と戦ったんですよね」
フィナとノアはアニメ2期もちゃんと見ている。
「それとミリーラからアンズさんが来たときのお話もありますよ」
もう、そんなに経つのか。時間が経つのは早いものだ。
「7巻はフローラ様で、内容は鉱山とケーキの話です。鉱山は、わたしのミスリルナイフを作るために行ったときのお話みたいです」
「そうなのですか?」
「わたしが持っているナイフだと、ユナお姉ちゃんが討伐した黒虎が解体できなかったから」
シアの護衛のときに倒した黒虎をフィナに頼んだけど、フィナが持っているナイフでは解体ができなかった。
それで、黒虎を解体するにはミスリルナイフが必要だった。
「ミスリルナイフって、高価ですよね?」
「プレゼントするなら、良いナイフをプレゼントしたいでしょう」
「ユナお姉ちゃん、シュリにもプレゼントしようとして、お母さんに怒られて大変だったんですよ」
そんなこともあったね。懐かしい思い出だ。
ノアとフィナは本を棚に戻し、ノアは8巻に、フィナは9巻に手を伸ばす。
「8巻の表紙はミサで、内容はミサの誕生日パーティーのお話ですね」
ノアは目次を見ながら言う。
「今、思い出しても、あのときのことはムカつきます」
ノアは握り拳を作る。
ミサの街には街を治める領主が2人いた。
1つはミサの祖父が治めるファーレングラム家。
もう一つがサルバード家。
サルバード家はファーレングラム家を潰そうと画策していた。
料理人を襲ったり、ミサの祖父の誕生日パーティーを邪魔しようとした。最後にはノアとフィナは殴られ、ミサは攫われた。
まあ、いろいろとあったけど、ミサを攫った貴族は捕まった。
今はみんな平和に暮らしている。
「9巻の表紙はルイミンちゃんですね」
9巻の表紙には緑色の髪をした女の子が描かれている。
「フィナは、その子を知っているのですか?」
ノアはフィナが持っている9巻を見ながら尋ねる。
「ルイミンちゃんは、王都の冒険者ギルドでギルドマスターをしているサーニャさんの妹さんです」
「ちなみに、この人がサーニャさんだよ」
わたしは10巻の表紙に描かれている大人の女性をノアに見せる。
ノアは8巻を棚に戻すと、わたしから10巻を受け取り、じっくりと見る。
「あの綺麗な女性ですね」
アニメで登場しているし、知っているよね。
エレローラさんともクリフとも知り合いだし、現実でも会っている可能性はある。
「9巻は、ユナお姉ちゃんがルイミンちゃんとサーニャさんと一緒にエルフの村に行くお話みたいです。新しいアニメはミサの誕生日パーティーまでだったので、この話はアニメではやってませんね」
「10巻はエルフの村での話みたいです」
フィナとノアは、それぞれの持っている巻の目次を見ながら言う。
「これも後で読ませてもらいます」
ノアとフィナは持っていた本を棚に戻す。
「11巻はシュリです」
フィナが少しだけ嬉しそうに11巻を手にして、中を確認する。
「みんなで王都の学園祭に行くお話ですね」
「12巻はティリア様です」
ノアは12巻の表紙を見て、中を確認する。
「こちらも学園祭の話みたいです。どうやら、表紙はユナさんがそのとき関わった人が描かれているみたいですね」
探偵のようにノアは推理する。
「学園祭、楽しかったです。来年も行きたいです」
学園祭では楽しいこともあったけど、ムカついたこともあった。最終日は、あの男のせいで、フィナたちと一緒に楽しむことができなかった。
「この11巻と12巻の間にあった11.5巻とはなんでしょうか」
ノアは12巻を棚に戻しながら、11.5巻を手にする。
「それは他の人のお話だね」
ノアは本を開いて、目次らしきところを見る。
「本当です。いろいろな人の話があります。わたしのお話もあります。つまり、わたしのことが書かれているということですね」
「わたしのお話もあります」
フィナが横から覗き込む。
わたしも中を読んだけど「クマとの遭遇」って話が多い。
内容はみんなが初めてわたしと出会って、どう思っていたか書かれていた。ほとんどがわたし自身っていうより、クマの姿についてが多かった。
「この巻も、後でチェックしないとダメですね」
そう言って、ノアは本を棚に戻し、13巻を手にする。
「この赤い髪の女の子は誰でしょうか」
「わたしも知りません」
フィナとノアは表紙を見ている。
「ユナさん、この子は誰ですか?」
「砂漠にあるデゼルトの街。領主の娘さんのカリーナだよ」
「確か、デゼルトって、王都の先ですよね。ユナさん、そんなところに行ったんですか?」
ちゃんと地理を把握しているみたいだ。
フィナは少し首を傾げている。
「国王様に頼まれて、デゼルトに行くことになったんだよ」
「内容が気になりますので、後で確認ですね」
確認は13巻だけじゃないよね。
「14巻、15巻はユナお姉ちゃんの水着です」
フィナは14巻と15巻を手にする。
「水着ってことは、みんなでミリーラに遊びに行ったときのお話ですね」
孤児院の子供達や院長先生にリズさん。
店で働く、モリンさん、カリンさん、ネリン。
ミリーラの街からきたアンズさんたち。
ミサにシア、冒険者のルリーナさんにギルと一緒にミリーラに行った。
動く島に行って、魔物と戦ったりしたけど、楽しかった思い出だ。
「ユナさんって、いつもはクマさんの格好で分かりませんが、スタイルがいいですよね」
表紙に描かれているわたしの水着姿を見て言う。
恥ずかしいから、そんなに見ないでほしい。
「お世辞を言わなくてもいいよ」
「お世辞なんて言いません。フィナもそう思いますよね」
「うん、ユナお姉ちゃん、綺麗だよ」
水着姿を褒められても恥ずかしいので、話を進ませる。
「16巻はフィナだね」
わたしは16巻を手にする。
「ちょっと待ってください。またフィナですか。14巻でも水着のフィナでしたよね。どうして、わたしじゃないんですか?」
ノアがわたしから、16巻を奪い取る。
「ノア様もちゃんと中の絵にシア様と一緒に描かれていますよ」
フィナは14巻の本を開き、ノアに見せる。
確かにノアとシアの水着姿も描かれていた。
「わたしは表紙の話をしているんです。表紙その本の顔です。つまり主人公です。フィナばかりずるいです。2巻、14巻、16巻、それに先の20巻、20.5巻もフィナです。わたしは3巻だけです」
ノアが口を尖らせる。
16巻はフィナと一緒にドワーフの街に行くことになった話だから、しかたない。
「えっと、ノア様、17巻はユナお姉ちゃんが2人いますよ」
フィナは話を逸らすために14巻、15巻を棚に戻し、17巻を手にすると表紙をノアに見せる。
そんなことで誤魔化されないかと思ったけど、気になったのかノアは17巻の表紙を見る。
「本当です。ユナさんが2人います。片方のユナさん、影があって、ユナさんっぽくないです」
それって、喜んでいいのか、悲しんだらいいのか、分からない。
「でも、なんでユナさんが2人いるんですか。もしかして、双子!?」
「違うよ。武器の試練? 説明が難しいんだけど。わたしのコピーが現れて、戦うことになったんだよ」
これはドワーフの街に行ったときのお話だ。
わたしのコピーは現れるわ、フィナのコピーも現れるわで、いろいろと大変だった。
「面白そうなお話です。これも読まないと」
もう、全部だよね。
話を逸らすことができたフィナは安堵している。
「18巻はシノブさんで、19巻はサクラちゃんですね」
フィナは17巻を棚に戻し、18巻と19巻を手にする。
「2人とも知らない人です。珍しい服を着ていますね」
「和の国の服ですよ」
フィナが答える。
「和の国ですか? どうして、フィナが知っているんですか? もしかして、あの不思議な門で行ったんですか。ずるいです。わたしも行きたいです」
アニメでクマの転移門のことを知っているノアは、自分で質問して、自分で答えを導いてしまう。
正解だ。
クマの転移門を使って、フィナを連れて行ったことがある。
「ズルいです。わたしも連れて行ってほしいです」
「今度ね」
「約束ですよ。それにしても、ユナさん。あっちこっちで新しい女の子ばかり作っていませんか」
「人聞きが悪い。たまたま、そこに行ったら、困っている子がいたから、助けただけだよ。それが女の子だっただけだよ」
ブラックバイパーのときは男の子だった。
その他は……。思い出せないだけで、きっと男の子も助けているはずだ。
「とりあえず、この和の国のお話もチェックです」
どうやら、全巻読むことになりそうだ。
「20巻はフィナですね。本当にフィナばかりズルいです」
ノアは20巻を手にしてながら言う。
「しかも、フィナを連れて、和の国に遊びに行っています。ズルいです」
「20.5巻は、ユナお姉ちゃん以外のお話みたいですよ。ノア様のお話もありますよ」
フィナは誤魔化すように、また次の本をノアに見せる。
「この巻も11.5巻のように、特別な巻みたいですね。10巻以降の人たちのお話みたいです。
この巻も11.5巻同様に「クマとの遭遇」が多い。
そこは「ユナとの遭遇」でいいと思うんだけど。
作者の悪意を感じる。
「最後の巻の21巻はセレイユ様です」
「ノア様は、この綺麗な人、知っているのですか?」
「ふふ、ユナさんと2人でおでかけしましたから、フィナは知らないのもしかたありません」
ノアは少しだけ、優越感に浸る。
そういえば、フィナと出かけることは多いけど。ノアと2人っきりは、今回が初めてだったかも。
「この綺麗な人はセレイユ様。ユーファリアの街の領主の娘さんです。どうやら、この巻は、わたしとユナさんの物語が書かれているみたいです」
そんな大袈裟ものじゃないと思うけど、ノアと一緒におでかけした話なので、間違ってはいない。
「半分ノアで、もう半分はセレイユかな?」
「表紙をセレイユ様に取られたのが残念です。わたしを描いて欲しかったです」
読んでみたけど、わたしの知らないセレイユのお話も書かれていた。
どんな気持ちで強くなろうとしていたのか書かれていた。
そんなセレイユを神様から貰ったチートで倒したんだから、自慢にもならない。
自慢ができるのは剣技ぐらいだ。
「そういえば、セレイユ様に何か言えないことがあったんですよね。あの時は、聞かないって言いましたが、気になっていたんです。本を読めば分かるってことですね」
取り上げようと思ったけど、今更だ。
「どうやら、21巻で終わりみたいです」
「でも、横に22巻発売予定って書いてありますよ」
小さい立て看板が置いてあり、22巻発売予定と書かれている。
「どんなお話になるか、楽しみです」
どうやら、わたしの物語は、まだまだ続くらしい。
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次回は、029先生からのコメント&描き下ろしイラストを公開予定!
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